追記: 2026年6月4日の最新情報
このテーマをもう少し広げて見るなら、AGENTS.mdを変更レビューに入れる前に:instruction drift・権限競合・テスト手順の見直し方 と AIコーディングエージェントのprompt injection対策:Issue・Docs・MCPを読ませる前に決めること も合わせて確認してください。CodexとClaude Codeの両方に指示ファイルを読ませる前に、AGENTS.mdとCLAUDE.mdの衝突をレビューできます。
2026年6月4日にOpenAIとAnthropicの公式docsを再確認しました。本文の結論は変わりませんが、CodexとClaude Codeを同じリポジトリで併用する場合は、単に「実装役とレビュー役」を分けるだけでなく、Codex appのworktree、automatic review、approval / sandbox / network controlsを同じ表に入れて決めると運用しやすくなります。
- Codex appのworktreeは並列作業の分離に向いていますが、branch、PR、統合責任は人間側で固定します。
- automatic reviewが使える環境でも、sandbox境界や承認ポリシーを省略できるわけではありません。
- Claude Code側はCLAUDE.md、settings、permission-based architectureを確認し、AGENTS.mdとの衝突を最初に点検します。
公式情報は、OpenAIのCodex app Worktrees、Agent approvals & security、AnthropicのClaude Code settingsとClaude Code securityを確認してください。
3行まとめ
共通ルールとツール固有の補足を分けます。
read-onlyから始め、編集や外部toolを段階的に広げます。
worktree、ブランチ、scope指定で差分を分離します。
実装役、レビュー役、人間承認の順番を固定します。
併用の焦点は、どちらが賢いかではなく、どこで責任と権限を分けるかです。
- CodexとClaude Codeを同じリポジトリで使うなら、最初に決めるのは「どちらが賢いか」ではなく、指示ファイル、権限、作業場所、レビュー順です。
- 共通ルールは
AGENTS.md、Claude固有の補足はCLAUDE.md、実行境界はCodexのpermission profileやClaude Codeのsettingsへ分けます。 - 併用の初期値は、片方が実装、片方がレビュー、MCPや外部toolはread-onlyから、コストと利用上限は作業ログで追う形が安全です。
この記事は、2026年6月1日時点でOpenAI Codex公式docs、OpenAI Help Center、Anthropic Claude Code公式docs、Anthropic Help Centerを確認して書いています。X/Twitterの追跡アカウントは今回の実行環境では公開ページから72時間内の確実な投稿確認ができなかったため、需要シグナルとしても本文根拠には使っていません。
この記事でわかること
`AGENTS.md`と`CLAUDE.md`の役割を分けられます。
Codex permissionsとClaude Code settingsを分けて見られます。
調査、実装、レビューを同じagentに寄せすぎない形にできます。
MCP、外部tool、使用量、停止条件を決められます。
読み終えた時点で、併用するか、片方に寄せるかを判断しやすくします。
- CodexとClaude Codeを同じリポジトリで併用する時の役割分担
AGENTS.mdとCLAUDE.mdを重複させない置き方- Codex permission profileとClaude Code settingsの分け方
- worktree、ブランチ、複数セッションで作業を分離する考え方
- 実装役、レビュー役、人間承認の順番
- MCPや外部toolをread-onlyから始める理由
- コスト、利用上限、データ利用で確認すること
- 併用しないほうがよい失敗条件
AIコーディングエージェントを増やすと、できることは増えます。ただし、同じリポジトリに複数のエージェントを入れると、指示の衝突、二重編集、未検証の完了報告、権限の広げすぎも起きやすくなります。
この記事では、CodexとClaude Codeを競わせる記事にはしません。主題は「同じチームで両方を使うなら、どこを先に決めるか」です。Codex単体の設定はCodex設定を増やす前に決めることで、チーム向けの指示ファイルはチーム向けAGENTS.mdテンプレートで扱っています。ここでは併用時の境界に絞ります。
前提知識
- 1プロジェクト文脈
`AGENTS.md`や`CLAUDE.md`で規約、テスト、報告形式を伝えます。
- 2実行制御
permission profile、sandbox、settings、MCP scopeで操作範囲を制御します。
- 3作業ログ
実行したこと、未実行、リスク、人間承認を残します。
- 4運用判断
性能比較ではなく、役割、権限、レビュー順で設計します。
禁止事項を文書に書くだけでは安全境界にならないため、実行側の制御と合わせて考えます。
CodexとClaude Codeは、どちらもコードベースを読んで、計画し、編集し、テストやレビューを補助できます。だからこそ、同じリポジトリで両方を使う時は「どちらにも全部任せる」より、役割を分けたほうが運用しやすくなります。
指示ファイルと実行境界は別物
根拠
AGENTS.mdやCLAUDE.mdは、エージェントへプロジェクト文脈を伝えるための自然言語の指示です。コーディング規約、テスト手順、レビュー観点、禁止したい作業、報告形式を書く場所として有効です。
一方で、外部通信、ファイル書き込み、秘密情報へのアクセス、MCP server、shell commandの許可は、自然言語の注意書きだけに寄せるべきではありません。Codexではpermission profileやsandbox、Claude Codeではsettings.jsonのpermissions.allow、ask、deny、managed settingsなど、実行時の制御に寄せます。
併用は性能比較ではなく運用設計
同じタスクをCodexとClaude Codeに投げて、速かったほうを採用するだけでは、チーム運用の判断材料として薄いです。実務では、次の観点が効きます。
| 観点 | 決めること |
|---|---|
| 指示 | 共通ルールとツール固有ルールをどこに置くか |
| 権限 | read-only、編集、外部通信、MCPをどう段階化するか |
| 作業場所 | local、worktree、別ブランチ、別セッションをどう使うか |
| レビュー | 片方が作った差分を誰がどう確認するか |
| コスト | 長時間タスク、複数セッション、subagentの上限をどう見るか |
| 停止条件 | 未検証、権限不足、衝突、利用上限到達時にどう止めるか |
結果: 併用するなら役割を三つに分ける
| 項目 | 内容 | 見方 |
|---|---|---|
| 調査・計画 | read-onlyで既存仕様、差分範囲、リスクを確認します。 | |
| 実装・差分作成 | 限定権限で対象pathだけを変更します。 | |
| レビュー・統合 | もう片方のagentと人間がdiff、テスト、未検証を確認します。 | |
| 片方だけ | 小さな修正や緊急対応では、調整コストを増やさない選択もあります。 |
併用は、複数視点に分けられる作業で効果が出ます。
最初の結論は、三つの役割へ分けることです。
| 役割 | 主な担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 調査・計画 | Claude CodeまたはCodexのread-only thread | 書き込み前に範囲とリスクを見る |
| 実装・差分作成 | CodexまたはClaude Codeの限定権限session | 変更範囲を絞って作る |
| レビュー・統合 | もう片方のagent + 人間 | 自分の変更を自分で承認しない |
Codexは公式docsで、アプリ内のparallel thread、worktree、Git diff、commit、PR作成、integrated terminalなどを扱えます。Codex appのworktreeは、通常のlocal checkoutを邪魔せずに背景作業を進める用途に向いています。
Claude Codeは、CLAUDE.mdによるプロジェクト記憶、settingsによる権限、subagentのtool制限、plan mode時の調査、カスタムsubagentなどを持ちます。Claude Codeのsubagents docsでは、read-onlyのExploreやPlan subagent、tool allowlist/denylist、MCP serverのscopingが説明されています。
片方を実装役、片方をレビュー役にする
併用の初期パターンは、片方に実装させ、もう片方にレビューさせる形です。
例:
- Claude Codeで計画を作る。
- Codex worktreeで限定scopeの実装を進める。
- Claude Codeにdiff、テスト結果、未検証項目をレビューさせる。
- 人間が最終判断してmergeする。
逆でも構いません。大事なのは、実装役とレビュー役を同じagentに固定しないことです。AIの自己レビューは便利ですが、最終承認には使いすぎないほうがよいです。
片方だけでよいケース
併用しないほうがよい場合もあります。
| 片方だけでよい作業 | 理由 |
|---|---|
| 1ファイルの小さな修正 | 併用の調整コストが上回る |
| 明確なテスト修正 | 同一agentで実装と検証まで進めやすい |
| 機密性が高い調査 | 使うツールとログ面を最小化したほうがよい |
| 緊急障害の一次対応 | 指揮系統を増やすと遅れる |
併用は、作業が複数視点に分けられる時にだけ効きます。たとえば、依存関係更新のレビュー、既存仕様の調査、複数実装案の比較、セキュリティ観点の差分確認です。Claude Codeで依存関係更新を任せる時のゲートはClaude Codeで依存関係アップデートを任せる前にも参考になります。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdをどう分けるか
- 1`AGENTS.md`
ツールを問わず守るscope、禁止操作、テスト、報告形式を書きます。
- 2`CLAUDE.md`
Claude Codeのplan mode、subagent、import方針などを薄く補足します。
- 3settings
allow、ask、denyなどの実行時制御を置きます。
- 4衝突確認
重複、矛盾、承認境界、テスト手順の欠落を最初に見ます。
共通ルールの正本を一つにすると、片方だけ古い指示が残りにくくなります。
同じリポジトリでCodexとClaude Codeを使う時、最初に荒れやすいのが指示ファイルです。AGENTS.md、CLAUDE.md、.claude/settings.json、.mcp.json、各種rulesが増えると、どれが正なのかわからなくなります。
おすすめは、共通ルールをAGENTS.mdへ寄せ、Claude固有の補足だけをCLAUDE.mdへ薄く置くことです。
共通ルールはAGENTS.mdへ寄せる
AGENTS.mdには、ツールを問わず守ってほしいルールを書きます。
# Repository instructions
Scope
- This repository contains a sample web app and API.
- Do not use live credentials or private customer data.
Allowed operations
- Read files in this repository.
- Edit files only for the requested task.
- Run lint, typecheck, and tests listed below.
Human approval required
- Dependency installation or upgrade.
- Database migration.
- External API write operation.
- Git push, deployment, or release operation.
Test commands
- npm run lint
- npm run typecheck
- npm test
Final report
- Summary
- Changed files
- Tests run
- Not run
- Risks
この内容は、Codexだけのためではありません。人間のレビュー、Claude Code、Cursor、Copilot、CI運用にも使える、リポジトリの作業契約です。
Claude固有の補足はCLAUDE.mdへ薄く書く
Claude Codeのmemory docsでは、CLAUDE.mdやCLAUDE.local.md、外部ファイルのimportが扱われています。CLAUDE.mdには、Claude Codeだけに必要な補足を書きます。たとえば、Claude Codeでよく使うslash command、subagent、plan modeの使い方、@AGENTS.md importの方針です。
# Claude Code notes
@AGENTS.md
Claude-specific workflow
- Start with plan mode for multi-file changes.
- Use read-only exploration before editing.
- Use a review-focused pass before final response.
- Do not treat this file as a security boundary.
AGENTS.mdとCLAUDE.mdに同じ禁止事項を長くコピーすると、片方だけ古くなります。共通ルールは一箇所へ、ツール固有の使い方だけ別ファイルへ、という分担にします。
衝突確認を最初のタスクにする
併用を始める初日は、実装ではなく指示の衝突確認から始めます。
Read AGENTS.md, CLAUDE.md, .claude/settings.json, and MCP config.
Report duplicated rules, conflicting permissions, unclear approval boundaries,
and missing test instructions. Do not edit files.
このタスクはread-onlyで十分です。いきなり修正させず、どの指示がどちらのツールに効くのかを確認します。
権限はread-onlyから段階的に広げる
| 項目 | 内容 | 見方 |
|---|---|---|
| 調査 | read-onlyでdocs、diff、test構成を読みます。 | |
| 限定実装 | 対象pathと実行コマンドを絞って変更します。 | |
| 外部調査 | domain allowlist、送信データ、secret除外を確認します。 | |
| 危険操作 | deploy、secret表示、破壊的git操作は人間承認にします。 |
セキュリティに関わる章では、広い権限を便利さだけで選ばず、必要性と戻し方を確認します。
併用時の初期値はread-onlyです。両方のagentに編集権限、外部通信、MCP、GitHub write、shell full accessを同時に渡すと、問題が起きた時に原因を切り分けにくくなります。
Codex側の初期値
Codex permissions docsでは、:read-only、:workspace、:danger-full-accessなどのprofileや、profile拡張、filesystem/networkの制御が説明されています。チーム導入では、最初から広い権限にしないほうがよいです。
| フェーズ | Codexの扱い |
|---|---|
| 調査 | read-onlyでdocs、diff、test構成を読む |
| 限定実装 | workspace内の対象pathだけ変更する |
| 外部調査 | domain allowlistやweb searchの扱いを決める |
| 危険操作 | deploy、secret表示、破壊的git操作は人間承認 |
danger-full-accessのような広い権限は、便利だから使うものではなく、必要性と戻し方が説明できる時だけ使います。
Claude Code側の初期値
Claude Code settings docsでは、Managed、User、Project、Localのscope、permissions.allow、deny、settings priority、MCPやhooksなどが説明されています。プロジェクト共有の設定は.claude/settings.json、個人の実験は.claude/settings.local.jsonへ分けます。
例:
{
"permissions": {
"allow": [
"Bash(npm run lint)",
"Bash(npm run typecheck)",
"Bash(npm test *)"
],
"ask": [
"Bash(npm install *)",
"Bash(git commit *)"
],
"deny": [
"Read(./.env)",
"Read(./.env.*)",
"Read(./secrets/**)",
"Bash(git push *)"
]
}
}
公開記事の例なので、実在の社内パスや秘密情報名は入れていません。自社で使う時は、秘密情報、ログ、顧客データ、課金操作、本番接続を必ず洗い出します。
自然言語の禁止事項を過信しない
注意点
AGENTS.mdに「本番DBを触らない」と書くのは大事です。しかし、それだけで安全境界になるわけではありません。接続情報を渡さない、MCP toolをread-onlyにする、DB writeを承認制にする、CI/CDの権限を分ける、ログを残す、という実装側の制御が必要です。
この考え方は、MCPや外部通信でも同じです。外部toolの許可範囲はCodexにインターネットアクセスを許可する前にで扱ったように、allowlist、送信データ、secret除外、承認者をセットで決めます。
worktreeとブランチで並列作業を分離する
- 1作業scope
触るファイル、触らないファイル、確認コマンドを決めます。
- 2worktree
Codex worktreeや専用ブランチで差分を分けます。
- 3セッション
Research、Plan、Implement、Reviewの役割を分けます。
- 4統合
diff、未追跡ファイル、テスト結果を確認してから合流します。
worktreeは差分を分ける助けになりますが、依存関係、build cache、未追跡ファイルも確認対象です。
Codex appのfeatures docsでは、Local、Worktree、Cloudのmodeや、worktreeで独立した作業を並べる使い方が説明されています。Worktrees docsでは、CodexがGit worktreeを作り、local checkoutと背景作業を分けられること、handoffでLocalとWorktreeを移動できることも説明されています。
併用時は、同じcheckoutで二つのagentに編集させないほうがよいです。
Codex worktreeを使う場面
Codex worktreeは、次のような作業に向いています。
| 作業 | 理由 |
|---|---|
| 既存テストの修正 | local環境を邪魔しにくい |
| 小さなfeature追加 | diffを分離できる |
| 複数案の比較 | 案ごとにworktreeを分けられる |
| 背景調査から差分作成 | foregroundの作業を止めにくい |
ただし、worktreeは万能ではありません。依存関係、build cache、dev server、未追跡ファイル、.gitignore対象ファイル、同じブランチのcheckout制限は注意点です。Codex docsでも、同じbranchを複数worktreeでcheckoutできないGit上の制限が説明されています。
Claude Codeの複数セッションを使う場面
Claude Codeを複数セッションで使う場合も、役割を分けます。
| セッション | 権限 | 役割 |
|---|---|---|
| Research | read-only | 仕様、既存実装、テスト構成を調べる |
| Plan | read-only | 実装計画とリスクを出す |
| Implement | scoped edit | 指定pathだけ変更する |
| Review | read-only | diff、テスト、未検証を確認する |
Claude Codeのsubagentsでは、toolを制限したread-only agentや、特定MCP serverをsubagentにだけ持たせる構成ができます。便利ですが、最初から複雑なsubagent構成にしないほうがよいです。まずは人間が見える単位で、調査、実装、レビューを分けます。
レビュー順を固定する
- 1差分作成
実装役が限定scopeで変更します。
- 2実行報告
Tests、Not run、Risksを残します。
- 3第二レビュー
レビュー役がbug、security、scope、test不足を見ます。
- 4人間判断
採用、修正、保留、追加検証を決めます。
Not runを消さないことが、併用時のレビュー品質を支えます。
AIエージェントを併用する最大の利点は、片方が作った差分をもう片方に違う観点で見せられることです。ただし、レビュー順を決めないと「どちらもそれっぽく完了したが、誰も責任を持っていない」状態になります。
実装役とレビュー役を分ける
おすすめのレビュー順は次です。
- 実装役が差分を作る。
- 実装役が実行したテストと未実行を報告する。
- レビュー役がdiffを読む。
- レビュー役がbug、security、scope、test不足を指摘する。
- 人間が採用、修正、保留を決める。
レビュー役には、次の入力を渡します。
Review this diff as a second agent.
Focus on bugs, security, scope creep, missing tests, and unclear assumptions.
Do not rewrite the implementation unless explicitly asked.
Return findings with severity, evidence, and suggested fix.
レビュー役が勝手に全面修正を始めると、差分の責任が混ざります。まずはfindingを出すだけにします。
最終報告の型を固定する
どちらのagentにも、最終報告の型を揃えます。
Summary:
- ...
Changed:
- ...
Tests:
- ...
Not run:
- ...
Risks:
- ...
Needs human approval:
- ...
この型があると、人間レビューで「実行したこと」と「実行していないこと」を分けて読めます。AIエージェントの併用で一番危ないのは、未検証が自然に消えることです。Not runを消さない運用にします。
実装前レビューにも使う
大きめの変更では、実装後だけでなく実装前にも別agentを使います。たとえば、Codexに実装案を出させ、Claude Codeに「この計画のリスクだけをレビューして」と依頼します。実装前レビューの考え方はCodexに実装前レビューを頼むでも扱っています。
MCPと外部toolは片方ずつ開放する
| 項目 | 内容 | 見方 |
|---|---|---|
| GitHub | issue、PR、diff readから始め、commentやbranch作成は承認対象にします。 | |
| Browser | 公開ページ確認から始め、ログイン状態での変更操作は分けます。 | |
| DB | schemaやread-only sampleから始め、writeやmigrationは承認対象にします。 | |
| Internal API | sandbox readから始め、本番writeを渡さない設計にします。 |
外部toolは、接続先、認証scope、ログ、secret除外、人間承認をセットで確認します。
CodexとClaude Codeの両方にMCP、GitHub、browser、DB、社内APIを渡すと、便利な一方で、問題が起きた時に「どのagentが何を見たか」「どのtoolが外部へ送ったか」を追いにくくなります。
read-only toolから始める
初期段階では、MCPや外部toolをread-onlyにします。
| tool種別 | 初期権限 | 承認が必要な操作 |
|---|---|---|
| GitHub | issue/PR/diff read | comment、label、branch、PR作成 |
| Browser | 公開ページ確認 | ログイン状態での変更操作 |
| DB | schema/read-only sample | write、migration、export |
| Cloud | billing/config read | create/update/delete |
| Internal API | sandbox read | 本番write |
Claude Code subagents docsでは、subagentごとにMCP serverをscopeできることが説明されています。これは便利ですが、tool descriptionsや認証scopeを増やすほど、レビューすべき面も増えます。最初は一つのagent、一つのread-only toolから始めます。
認証scopeとログを残す
確認項目
外部toolを渡す前に、次を確認します。
- 認証情報は誰の権限か
- read/writeのscopeは何か
- 本番とsandboxは分かれているか
- tool実行ログはどこに残るか
- secretや顧客データがpromptに入らないか
- 失敗時に自動リトライや二重実行が起きないか
- 人間承認が必要な操作は何か
MCPそのものの概念やTools/Resources/Promptsの権限設計は、公開済みのMCPとは何かとMCP仕様・SDK更新時の実務影響チェックも合わせて読むと整理しやすいです。
セキュリティ・コスト注意
| 項目 | 内容 | 見方 |
|---|---|---|
| データ利用 | プラン、契約、data controls、保持期間を公式情報で確認します。 | |
| 使用量 | 長いcontext、長時間タスク、複数agent、subagentで増えます。 | |
| 監査ログ | 依頼文、権限、外部tool、コマンド、差分、未検証を残します。 | |
| 人間承認 | 課金、本番、secret、deploy、破壊的操作の責任者を決めます。 |
料金、利用上限、データ利用は変わるため、導入前にOpenAIとAnthropicの公式ページを見直します。
併用時のセキュリティとコストは、単体利用より見えにくくなります。二つのagentがそれぞれ長いcontextを持ち、subagentやMCPを使い、別々のログを残すためです。
データ利用と保持はプランで変わる
OpenAI Help CenterのCodex記事では、Codexは複数のChatGPT planに含まれ、usage limitsはplanやtaskの複雑さで変わると説明されています。また、Business、Enterprise、Eduでは既定で入力や出力をモデル改善に使わない一方、Pro/Plusではdata controlsを確認する必要があるとされています。
AnthropicのClaude Code data usage docsでは、Free/Pro/Maxのconsumer userと、Team/Enterprise/APIなどのcommercial userでデータ利用の扱いが分かれています。商用条件では、顧客が選択した場合を除き、Claude Codeに送信されたコードやpromptを生成モデルの訓練に使わないと説明されています。保持期間やtelemetryの扱いも確認対象です。
ここは古くなりやすいので、導入前に必ず公式ページを見直します。特に、個人プランで社内コードを扱う運用は、会社の規程、契約、データ分類と照合してください。
利用上限は複数agentで早く減る
CodexもClaude Codeも、長いコードベース、長時間タスク、大きなcontext、複数セッションで使用量が増えます。Anthropic Help Centerでは、usage limitsはconversation length、features、modelなどに影響され、Claude Codeを含む利用が同じusage limitに数えられると説明されています。OpenAI Help Centerでも、Codex usageはagentic usage limitに数えられ、coding taskの大きさや複雑さで消費が変わると説明されています。
評価基準
併用時は、次の上限を決めます。
| 上限 | 例 |
|---|---|
| 1タスクのagent数 | 実装1、レビュー1まで |
| 長時間作業 | 30分ごとに進捗とNot runを確認 |
| subagent | read-only調査だけから開始 |
| MCP | 1種類ずつ開放 |
| 再試行 | 同じ失敗を2回繰り返したら人間へ戻す |
| コスト | 週次でusage画面や請求を確認 |
監査ログと人間承認を残す
法人やチームで使うなら、次を残します。
- 依頼文
- どのagentを使ったか
- どの権限profile/settingsだったか
- どの外部toolを使ったか
- 実行したコマンド
- 作成した差分
- 未検証項目
- 人間が承認した操作
「AIがやりました」だけではレビューにも監査にも使えません。作業ログの粒度を揃えることが、併用の最低条件です。
失敗点とハマりどころ
複数ファイルに少しずつ違うルールが残ります。
同じcheckoutや同じファイルで差分の意図が混ざります。
Not runが消え、テスト不足のままmergeされます。
外部toolと認証scopeが増え、事故時の切り分けが難しくなります。
小さな変更は片方で終わらせ、大きい変更やレビューが重い変更だけ併用します。
併用の失敗は、モデルの能力不足より、運用の曖昧さから起きることが多いです。
指示ファイルが重複する
AGENTS.md、CLAUDE.md、.claude/settings.json、個人メモ、古いREADMEに同じルールが少しずつ違う形で書かれると、agentごとに違う判断をします。
対策は、共通ルールの正本を一つにすることです。Claude固有のファイルから共通ルールを参照し、コピーを減らします。
二つのagentが同じファイルを編集する
同じcheckoutで二つのagentが同じファイルを触ると、差分の意図が混ざります。worktree、ブランチ、scope指定で分けます。
悪い例:
Codex: src/components/Checkout.tsxを修正
Claude Code: 同じファイルをレビューしながら修正
Human: どちらの変更が必要だったか追えない
よい例:
Codex: worktreeで実装
Claude Code: diffだけをread-onlyレビュー
Human: findingを見て修正方針を決める
両方が未検証のまま完了する
片方が「テストは未実行」と書き、もう片方もそれを見落とすと、未検証のままmergeされます。Not runは必ず最終報告に残し、人間レビューで消さないようにします。
MCP権限を広げすぎる
MCP serverを増やすと、agentが見られるtool説明、接続先、認証scopeも増えます。最初からGitHub write、browser操作、DB、社内APIを全部渡すと、事故時の切り分けが難しくなります。
併用そのものが目的になる
二つのagentを使うこと自体が目的になると、単純な修正にも調整が増えます。小さな変更は片方で終わらせ、大きい変更やレビューが重い変更だけ併用します。
実務で使うなら
- 1日目
指示ファイルとsettingsをread-onlyで棚卸しします。
- 2日目
`AGENTS.md`と`CLAUDE.md`を整理します。
- 3-5日目
read-only調査、小さな実装、第二レビューを試します。
- 6-7日目
MCP/toolを一つだけ試し、継続、縮小、停止を判断します。
基礎ルールがない状態でagentだけ増やすと、作業速度よりレビュー負荷が増えます。
最初の1週間は、派手な自動化ではなく、作業ログと境界線を作る期間にします。
1週間パイロット
| 日 | やること | 完了条件 |
|---|---|---|
| 1日目 | 指示ファイルとsettingsをread-only棚卸し | 重複、衝突、未定義を一覧化 |
| 2日目 | AGENTS.mdとCLAUDE.mdを整理 | 共通ルールと固有補足を分離 |
| 3日目 | read-only調査タスクを両方で実施 | 結果の差と根拠を比較 |
| 4日目 | 小さな実装を片方に任せる | diffとtest結果を保存 |
| 5日目 | もう片方でレビュー | finding、Not run、Riskを記録 |
| 6日目 | MCP/toolを一つだけ試す | read-onlyでログとscopeを確認 |
| 7日目 | 継続/縮小/停止を判断 | 失敗条件と上限を更新 |
Issueテンプレート
併用時の依頼は、Issue形式にします。
Goal
Scope
- Allowed files:
- Do not touch:
Agent roles
- Implementer:
- Reviewer:
Permissions
- File access:
- Network:
- MCP:
Commands
- Required:
- Optional:
Human approval required
Output format
- Summary
- Changed files
- Tests
- Not run
- Risks
このテンプレートがあると、CodexにもClaude Codeにも同じ前提を渡せます。AI Coding Benchmark Kitのように同一条件で測る場合は、AI Coding Benchmark Kitの作り方の評価軸へつなげるとよいです。
導入しないほうがよい条件
停止条件
次の条件に当てはまるなら、併用は後回しにします。
AGENTS.mdやCLAUDE.mdの正本がない- テストコマンドが決まっていない
- secretや本番データの扱いが曖昧
- Git branch protectionやCI required checksがない
- 外部toolのログが残らない
- 人間承認の責任者がいない
- 使用量や請求を誰も見ていない
併用は、基礎ルールがあるチームで効果が出ます。基礎がない状態でagentだけ増やすと、作業速度よりレビュー負荷が増えます。
FAQ
固定せず、作業環境、権限、レビューしやすさで決めます。
共通ルールは寄せられますが、Claude固有のmemoryやsettingsは補足します。
最初は増やしすぎず、read-only調査のような独立作業から始めます。
プラン名だけでなく、agent数、時間、context、再試行を見ます。
迷った時は、誰が何を実行し、誰が最終判断するかを基準にします。
CodexとClaude Codeのどちらを実装役にすべきですか
固定しなくてよいです。Codex worktreeやGit差分管理が合う作業ではCodexを実装役にし、Claude Codeのplan modeやsubagent調査が合う作業ではClaude Codeを調査・レビュー役にする、という始め方が扱いやすいです。チームの環境、権限、料金、レビューしやすさで決めます。
AGENTS.mdだけでClaude Codeも運用できますか
共通ルールはAGENTS.mdへ寄せられますが、Claude Code固有のmemory、settings、subagent、MCP scopeはCLAUDE.mdや.claude/settings.jsonで補うほうが整理しやすいです。CLAUDE.mdから@AGENTS.mdをimportする場合も、承認や読み込み状態を確認します。
Claude Code subagentsとCodex Subagentsを両方使ってよいですか
最初から両方のsubagentを増やすのは避けます。まずはメインagent同士で、調査、実装、レビューの型を固定します。その後、read-only調査のような独立した作業だけsubagent化します。Codex側の分担設計はCodex Subagentsで分担する前に決めることも参考になります。
MCPはCodexとClaude Codeの両方に同じものを渡すべきですか
初期段階では片方だけに渡します。両方に同じwrite権限を渡すと、どちらが何を実行したかを追いにくくなります。まずread-only、次に限定write、最後に人間承認付きwriteという順番にします。
コストはどう見ればよいですか
プラン名だけで判断しません。長時間タスク、巨大なcontext、複数セッション、subagent、MCP、再試行で使用量は増えます。週次でusage画面や請求を確認し、1タスクあたりのagent数、実行時間、再試行回数を決めます。料金や上限は変わるため、OpenAIとAnthropicの公式ページを確認してください。
AIコーディングエージェントの権限設計やチーム導入の更新は、ニュースレターでも追えるようにしています。法人向けに、AGENTS.md/CLAUDE.md整理、MCP read-only設計、評価タスク作成、権限棚卸しを相談したい場合は、お問い合わせから連絡できます。
次に読むなら
参照した主な情報源
- OpenAI Codex GitHub README: https://github.com/openai/codex
- Codex app features: https://developers.openai.com/codex/app/features
- Codex worktrees: https://developers.openai.com/codex/app/worktrees
- Codex permissions: https://developers.openai.com/codex/permissions
- Codex AGENTS.md guide: https://developers.openai.com/codex/guides/agents-md
- Using Codex with your ChatGPT plan: https://help.openai.com/en/articles/11369540-using-codex-with-your-chatgpt-plan
- Claude Code memory docs: https://code.claude.com/docs/en/memory
- Claude Code settings docs: https://code.claude.com/docs/ja/settings
- Claude Code subagents docs: https://code.claude.com/docs/en/sub-agents
- Claude Code data usage: https://docs.anthropic.com/ja/docs/claude-code/data-usage
- Understanding usage and length limits: https://support.anthropic.com/en/articles/11647753-understanding-usage-and-length-limits
更新履歴
- 2026年6月1日
OpenAI Codex公式docs、OpenAI Help Center、Anthropic Claude Code公式docs、Anthropic Help Centerを確認しました。
- 2026年6月1日
X/Twitterの追跡アカウントは、本文根拠に使わない方針にしました。
- 未実施
実リポジトリ上での同時実行ベンチマークは行っていません。
導入判断では、公開日時点の設計チェックリストとして扱います。
- 2026年6月1日: OpenAI Codex公式docs、OpenAI Help Center、Anthropic Claude Code公式docs、Anthropic Help Centerを確認して初版を作成しました。
- 2026年6月1日: X/Twitterの追跡アカウント公開ページから72時間内の確実な投稿確認はできなかったため、本文では需要シグナルとしても引用しない方針にしました。
- この記事では、実リポジトリ上でCodexとClaude Codeを同時実行したベンチマークは行っていません。導入判断のための設計チェックリストとして扱ってください。
